
こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
農園の周囲で落ち葉を集めるのは気持ちの良い作業。
コツコツと続きます。
年々、落ち葉を集める人が減ってきたようです。
毎年、きっちり落ち葉を掃いていた地主さんも高齢になり、畑を辞めてしまうからでしょう。
自然界の落ち葉は、土に還り、腐植の一部は雨に流されて川へ、さらに海へ辿る。そこでプランクトンを養い、それが魚を養い、やがて一部は川をさかのぼってくる。というようなダイナミックな循環がありました。現在の日本列島では、多くの川が護岸やダムでせき止められてしまったため、流域生態系の循環は、ほとんどありません。
そしてまた里山にあっても、人間の落ち葉かきを含めた循環も、切れ切れになりつつあります。
里山は人と自然界のまじりあう境界線なので、人が減ることは里山の循環も途切れてしまいます。
だから神奈川県では里山里地の保全を、都市部の人も加わることで再生させる試みが各地にあるようです。相模原市内でもあることでしょう。「すどう農園」にしても、都市部の皆さんが数多くかかわって下さることで、荒廃地が増える一方の里山にありながら、農を営むことができています。
さて話を落ち葉に戻します。
冒頭の写真のような擁壁は、壁の急な角度から道路へと、傾斜が急に変わるところですね。
このように地面の角度が急に変わる場所は「大地の再生」で学んだところによれば「滞りやすい」ので、本来ならば脈を切るなどして整えるといいのですが、ここは公道だしコンクリートだし、二重の意味で手を入れられません。
でもたしかに、この擁壁と道路が触れ合うエリアは面白いんです。
生態学の用語で「境界(エッジ)」というものがあります。
二つの世界(モードと言ってもいいかもしれません)が出会うところに葉多様性が生まれる、というものです。例えば海と陸の出会う波打ち際、渚や干潟がそうですね。人間世界でも、二つの文化圏が接する国境付近とか、色々ありますし、そして里山はまさに人間世界と自然界の出会うエッジです。
そうしたマクロなエッジだけでなく、下の写真のようなミクロなエッジも面白い。


擁壁に吹き黙った落ち葉は、数か月で腐葉土の層をつくります。
毎年ここを掃き掃除しても、一年後には、こんな層ができるのですから、土の出来る勢いは凄い。
僅か数センチの層に、こぼれたタネが根を生やします。
在るものはそこからさらにコンクリートを割って根を伸ばします。
植物の根は「根酸」という酸を分泌することで、岩なども溶かします。
海辺の松が岩に根差しているのも、それができるからです。
写真で見たアンコールワットでは植物の根が石を掴み上げるように持ち上げていました。
植物の動きはゆっくりですが、そのチカラは何トンという怪力だそうです。
まあ、コンクリの下に根を生やしてしまえば、地上部を切られてもまた再生できます。
すごいですね。
こうして伸びた茎に、さらに枯れ葉が引っかかるようにして溜まります。
この中は鳥も来ないし、落ち葉はきも手が出ません。
ちょっとした集合住宅というか、要塞ですね。
目に見えないほどの微生物、落ち葉を食べるダンゴムシやなにやら、そうした生き物たちがコミュニティを作っています。擁壁は蓄熱体なので冬でも暖かいし、風も遮る。


冬だというのにテントウムシまでいます。
春までお休み。
さとやま農学校の見学会(お試し体験)においでください
「自然農を学ぶ・さとやま農学校」は、いつでも参加できます。
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まずはどんな場所か、ご覧になってください。
2026年の2月までの開催が決まっています。
寒い季節なので、お昼だけの短い時間ですが、農園で少し作業体験ができます。

