9月に入って秋モードです。
7月の日照りで夏野菜の育ちが遅れていたのですが、ここにきて盛り返してきました。雨さえあれば、あとは年々蓄えた自然農の地力でぐうっと野菜は元気に育つのだということを、改めて感じます。畑に生えてくる草を刈り、あるいは里山の落ち葉を踏込み、それをミミズや虫や微生物が分解して土に還す。その循環の積み重ねが蓄えになるのです。「肥料を入れなければ土の栄養がゼロになる」という農家さんがいます。有機農業の方でも時にそう言いますが、根本的に間違いです。空気中の二酸化炭素と水、それが有機物という形で太陽のエネルギーをパックしているわけですからゼロになるはずはありません。太陽光は雨の日でも毎日降り注ぎますから、常にインプットされているわけです。ミネラルは有機物ではありませんが、根圏微生物やキノコが、地中の岩石層から植物の根へと運んできてくれます。人間がわかったつもりでいる以上に、土のなかは非常にダイナミックなのです。太陽光は雨の日でも毎日降り注ぎますから、常にインプットされているわけです。ここが自然農の大事なポイントです。
そして秋冬の支度は、残暑のなかを早めに仕込んでいきます。日中は確かに暑いですが、夕方から朝まではずいぶん涼しくなりました。土を剥き出しにしないようにして極端な地温の上昇を防ぎながら種まきを進めます。多分この先も台風の頻発や天候の急変もあることでしょうから、できることは進めていくのがいいですね。
ブロッコリと一緒にカラシ菜を一足先に収穫しました。この真夏に、無農薬の青菜を食べられるのは貴重なことです。汗で失われたミネラルを、こうして植物で補っていきます。
オクラも、伸びだすと早い!
「さとやま農学校」の受講生さんも、そろそろ手が届かなくなってきました。一般的には途中で先端を切って脇芽を伸ばしてオクラを収穫するのですが、どこまで伸びるか知っていただきたいので、あえて伸びるところまで伸ばしています。普通の畑ではお目にかかれない光景ですね。
私は、ほぼ毎日ここにきているのですが、それでも夏になるたび、オクラの育ち方には唖然とします。
もちろんこのオクラも無肥料栽培です。そうして毎年、このなかから元気の良い親株のオクラを選んで種取りをしています。
トマトに添えて植えたシナモンバジル。通路を挟んで赤シソ。どちらも同じシソ科ですね。
これからの季節は、緑の中に赤や紫が欲しくなります。なんとも目に優しく、そして食欲を誘ってくれます。色は大事。そしてシソ科の場合は、とても香りが強いのでイノシシ除けにもなるようです。イノシシは非常に嗅覚が強いので、こうした香りの強い植物には嗅覚がかく乱されるのだそうです。たしかに、ホーリーバジルなども、掘り返されたことは一度もありません。イノシシは周囲を掘るけれども、ホーリーバジルには触らないのです。
サトイモも水が大好きですから、雨は大歓迎。もうここまでくれば大丈夫。大きな葉が日陰になって株元の乾燥を防いでくれます。サトイモを植え付ける前、春の畑に踏み込んだ株間の落ち葉はすっかり土に還っています。その土を、サトイモの株元に積み上げた枯草の上に軽く載せていきます。これから冬にむけてだんだんとサトイモが太っていく様子をイメージします。今の蒸し暑い空がはれ上がって霜が一降りする頃がサトイモの旬です。そんなイメージ。
自然農の収穫の秋
さとやま農学校の収穫は、みんなで育てたものを一緒に収穫してシェアします。
すどう農園では、できたものは分け合うということを大事に思っています。この先、おそらく近い将来に日本で食料が激減していくことは確実です。その要素は枚挙にいとまがないですね。気候変動による外国の輸出自粛や禁止、戦争による物資の停留(とりわけ化学肥料のほとんどは中国に依存)、円安と経済停滞による資材購買力の低下、国内の高齢化、などなど。
自給ということが、これまで以上に大事になるとき、自分だけで自給というのはあり得ません。力を合わせること、そして分け合うことが大事になるのです。しかし、分け合うという所作は、日ごろから慣れていないと、これは簡単にできることではないのです。人間同士のとても基本的な関係作業です。この辺の話はまた改めてブログに書きますね。
収穫を分けるのも結構大変で、実際にやってみると、例えば産直などで野菜のパックを作るのがどれほど大変か実感していただけると思います。生鮮野菜を均等に分けて袋や箱に詰め合わせるのを農業用語で「調整」と言いますが、これがホント大変なのですよ。そんなことも、実際に手を動かして感じることです。
さとやま農学校2023秋のショートコース開講です
間もなく9月17日と19日から「さとやま農学校2023・秋のショートコース」が開講です。9月8日現在、2名様だけ空き枠がありますが、ほぼ満員となりました。
いまの残暑の空がだんだんと冴えてきて、やがて冬です。
春の畑も素敵ですが、冬に向かう畑も風情がありますよ。初心者の方には、草に追い立てられないで心安らかに作業できるのが大きいでしょう。タネも、自家採油の者に加えてオーガニックの固定種を揃えました。静かに開講を待つ気分です。
街ではじめる大地の再生@国分寺カフェスロー
こちらも9月24日の開催に向けて、だいぶお申し込みもいただいています。国分寺カフェスローはとても広い空間ですので、まだまだ余裕があります。自然農と大地の再生のクロストークというのは、ありそうでない企画と思います。どうぞおいでください。