和綿の花が咲きました。
オクラやローゼル(ハイビスカス)と同じくアオイ科の花です。
オクラよりは小ぶりの花姿、いつもながらの清楚な色づかいに癒されます。
今年は7月の日照りで背が伸びず、昨年の半分くらいの背丈ですが、それでも健気に咲いてくれました。
先日は国分寺のカフェスローでインドで種を守る活動をしているバンダナ・シヴァさんの映画を見ました。シヴァさんのなさっていることは「種を守る」と一口で言えるものではないのですが、その源をたどればインド独立の礎であるマハトマ・ガンジーの志があります。イギリスの植民地とされたインドの独立を呼びかけたシンボルが、塩とコットンであったこと。広大なインド亜大陸の独立を呼びかけたガンジーの行進には、男も女も自分で織った服を着て参加しようと呼びかけた。その象徴としてガンジーは糸車を携えたのです。
いまこうして畑で棉を育てていると、この可憐な植物から衣服を紡ぎだすまでの道のりのどれほど大変なことかを実感します。ワタに限らず・麻や絹など、衣類に関する手仕事は畑から服になるまでの道のりが実に大変だからこそ、その時々の権力者は、徴税のような形で半ば強制的に作らせたのです。かつて宮古島に住んでいたことがあるのですが、いま高級品とされる宮古上布(素材は、全国に生えている苧麻です)も、実に過酷な琉球政府の強制的な取り立てで作らされていたそうです。当時の資料など見ると、専用の施設に島人が集められ、朝から晩まで奴隷のように働かされ、朝廷に貢ぐ上布を作らされた様子が伺えます。
あれこれ想うほど、自分には衣類の自給は何もできないなあと感じつつ、せめてこうして種は継いでいます。この先は「さとやま農学校」の有志の皆さんにバトンタッチして、そして棉(まだ植物の状態)から綿(糸に繰り出された状態)へと手仕事がつながっていけばと思うのです。すでに昨年「さとやま農学校・和綿サークル」の皆さんが収穫した綿がたくさんあるので、今年は岸田紀子さんの水先案内で、糸繰りなどしていく予定です。すっかり秋が楽しみです。
「さとやま農学校・秋のショートコース」でも棉の育つ様子を見ることができますよ。秋空の下で弾けるコットンボールは可愛いものです。まだお申し込み、わずかながら間に合います。