想うは愉し・シナリオを書く

こんにちは。

相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

数日前の雨で桃やサクランボの花は、おおむね散りました。
その一方で、促されるように緑の若葉が兆してきました。
まだ薄い新緑の気配が、ふと気が付くと急に陰影の濃い風合いになるのがこれからです。
畑の草も、気が付いたら膝まで伸びている様子に慌てたりします。
「自給のための農業体験・さとやま農学校」でも、まずはしっかりとケガをしないで無理のない草刈りを覚えて頂くのが、この時期なのです。

シナリオライター養成講座に学び始めました

私は、次から次へと、頭に色々なことが思いついて、たいていはすぐに行動に移す性格です。
だから農業という個人事業がとても向いています。何か作ってみたい作物があればサッと取り掛かればいいだけですからね。これが農業法人となると、会議にかけて、話し合って、採算性や栽培適性を考えて・・・と非常にうっとうしい。まずはやってみてダメなら仕方ない、というようなわけにはいかない。企業だから当然ですが、個人事業だって基本は営利行為だから、なんでもいいという訳にはいかないのです、やはり根本的には「面白そうだな」という好奇心が出発点なのです。好奇心が関係者全員に共有できないと良いスタートが切れない集団活動と違って、個人の農業は本当に愉しいものです。私の農業のお師匠様も、若い頃に出先でブタを買ってきて、それから小屋を建てたらしいです。
 思い起こせばずいぶん色々なことをやりました。失敗も多かったけれど、それは糧になりました。ただし大事なのは自分の身銭でやることです。

 前置きがまた農業の話になってしまいましたが、世間並みに、新年度ということで、シナリオライターの講座で学び始めます。やっぱりこの時期に新しく学びを始めるというのは良いですね。
昨年の春はサックス(toninsel)とボイストレーニングを習い始めて、どちらも今年で2年目になるのですが、拙いながらも身についてくるのは愉しいし、またそこから色々と湧いてきてしまう。たとえばサックスを習っている最中、先生の背景に漁港の堤防が浮かんで見えてくるのです。それは夜明け前の11月の寒くて暗いなかです。ハーバーライトが堤防に寄せ返す波を照らすその下でサックスを吹く人影。それは始業前の漁協職員なのですが、だんだんと夜明けが来て、空の色が白ぼけて、朝靄に浮かび上がる漁船や網。サックスの音色にかぶさるように朝のラジオから「気象通報」がかかる。 漁から戻ってきた漁船のエンジンの音。競り市場のざわめき、給湯場で立ち回るパートさんたちの話し声、あれこれ・・・というような思いつくままを、広げては刈り取ってまとめる、束ねる、やっぱりもう一度。

かつて就農する前に、東京で翻訳教室に通っていたことがありました。
いまでいう半農半Xとして、翻訳も副業でできないかと考えたのでした。結果として副業は成り立ちませんでしたが、数冊の翻訳の出版に関わることができました。それよりなにより、言葉を解釈して読み解いて、さらに日本語にする。その黙々としたやり取りがなんとも刺激的だったのですね。
たとえば:
 It’s a baby. He is a boy
 こんな簡単な文章でも文脈次第で何通りにもなる。
 農作業のあるときは、朝一番で、その日にやる段落の数行を紙きれに写して、作業ズボンのポケットに突っ込んでは、畑仕事の合間につらつらと言葉回しを考える。そんなことも愉しかった。あれから久しくを経て、今また違う形で言葉に関わるのは、とても懐かしい心持です。まずは目の前の原稿用紙と同じように、まっさらな気持ちで鉛筆を握ります。

はい、そんな新しい気持ちは、通いなれた畑に向かうのも同じなのです。
農業は毎年が一年生、おそらくどんな世界でもそうでしょうけれど、今年はどうやって夏を迎えようか等々、これもまたシナリオを思い描いての作業です。
新緑の「さとやま農学校オープンファーム」は、まだ5月6月の募集をしています。


 

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