篠竹で炭焼きから大地の再生へ

さとやま農学校

こんにちは。
神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

自給のための野菜作り教室「さとやま農学校」の最終週で篠竹の炭焼きをしました。人手の入らなくなった里山には竹や篠竹、笹などが暴れるように増えて、耕作されなくなった畑をあっという間に覆いつくす状況が全国的に広まっています。里山に限らず日本列島の自然のほとんどは人が暮らすことで調和を取ってきた空間ですから、ひとたび手が入らなくなると「侵略」と呼びたくなるほどの勢いで篠竹や藪になってしまいます。地下茎を密接に張り巡らすので、高齢化した農村のチカラでは、これを農地に戻すのは容易なことではありません。というか無理です。そうして荒れた場所が今度はメガソーラーの施設になるといった悪循環にもつながっていくのでしょう。
こういった大きな状況にどうするか?
いつもと同じで、やはり小さな力でできることを考えるべきですね。
生えてくる竹を地域の循環の輪にどう取り込むか?それがポイントです。
動物が好きな人ならヤギを飼って食べさせるのもありでしょうが、どうも個人的にヤギの顔が好きでありません。羊は可愛いと思えるのですが、高温多湿の気候に羊は向いていないということを、昔ヒツジを飼って実感したので今はやめました。

初夏の頃に切った篠竹を炭に焼きます。本当は切ってすぐ炭焼きしたいのですが、何しろ初夏は作業が目白押しでその余裕がありません。今回の炭焼きは前回のようなモキ式でなく(あれは農学校の生徒さんの持ち物なので)、いつものドラム缶二重式の炭焼きです。

上の写真でお分かりのように風が吹いても安心。ただし農学校の卒業生さんのオリジナル作品なので市販はされていません。ただのドラム缶ではなく、二重式というのが大事なツボなのです。実際に見てみれば内部構造は分かりますので、ドラム缶と道具があれば、おおむね同じようなものが作れるでしょう。細部については「ここはこうすればいいな」と思う点もいくつかあります。

こんな風に、邪魔者とされる篠竹も炭に焼いていけば宝物です。だから夏の篠竹刈りの作業も「毎年毎年、刈っても生えてくるなあ」とウンザリしながらやるのでなく「畑を良くしてくれる炭の元が生えてくる」と思えば嬉しいではありませんか。しかも広葉樹で炭を焼くのと違って竹や篠竹は軽いのが何よりありがたい。地域に生きているものをどれだけ上手に折り合いをつけるか、それで農作業の楽しさも180度違ってきます。炭焼き作業は「さとやま農学校」の皆さんとワイワイ賑やかに作業していますが、風のない日に少人数でしみじみやるのも冬の風情がありますね。ドラム缶の炭焼きは、薪ストーブみたいに炎熱効果があって身体の芯まで暖まるのです。

里山暮らしと大地の再生

竹炭を焼く作業の一方で、農学校の周辺に生えている雑木を剪定して整えます。数年に一回程度切ってあげることで、むしろ成長も促進します。里山の樹は、かつて薪炭にされていたコナラなどが多いのですが、およそ20年に一度くらいのローテーションで伐ることで管理しやすい太さと高さになっていたのです。これ以上放っておくと大きく育ちすぎて、普通にノコギリで切るのが無理になります。今では手入れ去らないままに巨大化してしまった樹も多いです。それから薪炭材ではないのですが、鳥が桑畑の桑の実を食べて糞に交じって目を出した桑の木も多いです。桑は非常に成長が早いのでこまめに切れば枝も柔らかく、薪として優秀です。あるいは桑の樹の樹皮も繊維が強いので編むこともできます。下の写真は弱って折れかけた枝を切っているところですが、木の粉が飛ぶし、あるいは生の枝だと跳ねて危ないので、本来はゴーグルをした方が良いですね。

お隣りの藤野で行われている「大地の再生」の藤井麻紀子さんのワークショップでも教えていただいた「気穴」を、農園で実践しています。
農園を囲むイノシシ除けのフェンスに近いあたりは、離れたところから篠竹などの地下茎や宿根草の根地下を伸びてきます。そういう個所は農園のなかでも野菜の育ち方が違うのです。農学校はずっと奥の山からゆるく斜面になっていて、その流れがこうした地下茎で滞っているのでしょう。本来の気穴は、もう少し流れの見立てをしてから適所に穴を開けていくようですが、ここは実習ということで、たくさんの穴を空けました。先ほど切った枝の小枝と、前に焼いた炭などを絡めて鳥の巣のように作りこみます。この気穴づくりがなかなかクリエイティブで面白いのです。さてさて、どんな結果が出てくるでしょうか。春が楽しみです。

来年からの「さとやま農学校2024」では1月からのプレ講座で冬の作業をゆっくりと始めます。
できたら気穴もまた別の場所に空けていきたいです。
12月の現地説明会は、まだ空きがあります。2時間程度の農園ウォーク&観察をしながら説明します。

さとやま農学校2024

タイトルとURLをコピーしました