食うか・食わせるか~小さく仲間を作る

自然農&里山暮らし
固定種ダイコン「大蔵大根」の種取り(自家採取)のための母本選抜

こんにちは。

神奈川・相模原の里山で自然農を営む「すどう農園」です。

某所の「こども食堂」さんへのダイコンのお届けが始まりました。品種は東京の在来種(固定種)の「大蔵」です。今でいう世田谷の祖師谷大蔵のあたりの在来種です。同じ東京の在来種のダイコンでも「亀戸大根」などは細身で先が細っていくスタイルですが、「大蔵大根」は煙突のように寸胴で太さが一定していて、おでんなど煮込む料理には最高です。もちろん、二つ割りや四つ割りにして干せば沢庵にもなります。上の写真は、以前のものです。そろそろまた干し大根を作らねば。

今年2023年は記録的な猛暑で、ダイコンも大変でした。
いつもながらの8月下旬の種まきをするも、発芽した芽が灼けてしまってうまく育たず、何度か蒔きなおしました。いつまでも暑いから虫も減らず、防虫ネットをかけるなど手間もかかりました。ひと昔前は、彼岸前に種を蒔いておけば、折々に間引きするだけで立派なダイコンになったものです。防虫ネットなど全く無用でした。気候は変わったなと実感します。まあ、それでも何度か蒔き直して、そろそろ収穫できるようになりました。やはり年の暮れにはダイコンが欲しいですね。間に合ってよかったです。

食うか・食わせるかの小さな関係

「すどう農園」での野菜は、一緒に野菜をつくってくれた仲間と自給、それ以外は数か所の「こども食堂」などにお届けしています。たいていはこちらの施設に引き取りに来てくださいますが、月に一回、宅急便でお届けするものもあります。
そもそも野菜というのは元来はお金のために作るものではなくて、周囲の人たちを含めて自給するために作るのが基本でした。芋や豆は保存も効くので穀物に準じた商品だったようですが、それ以外の生鮮野菜の用途はなんといっても自給用でしょう。冷蔵手段も輸送手段もなかった時代に、遠くへ運ぶことも保存することもできないわけですから当然のことですね。そのかわりに、いわゆる換金作物は、絹のための桑や衣類のためのワタ、炭にする薪炭材、その他無数にありました。その多くはやがて外国からの産品に市場を奪われ、あるいは技術の革新で使われなくなったわけですが、そうして農村に残ったものが商品ではなかったがゆえに生き残った野菜であり、それがやがて大規模に売り買いされるようになった…というのが、いささか乱暴ながらではありますが、私なりの野菜の近代史観です。だからいまだに野菜は安い。そんな原点に戻って考えると、野菜はむしろ差し上げた方が理にかなっています。今採れたダイコンを自分が食うか、誰かを食わせるか。という関係。食うか食われるかでなく、助け合いとまでもいかないような小さな関係です。大きな集団でこれをやると、何かのはずみに崩壊することもあるし、そうならないように関係をつなぎとめるのも気を使います。小さな「食うか・食わせるか」の人間関係が無数に分散しているのが良い。

自給のために自然農を学ぶ・さとやま農学校2024コース」でも、もちろん基本は野菜づくりですが、これからの時代に自給を考えたとき、一人二人でできることには物理的にも精神的にも限度があります。顔の見える仲間と小さな関係を作って育てて分け合っていく、そんな形ができればいいなと思っています。すでに説明会も始まり、説明会に来られない方のお申し込みもあさって12月1日から受付が始まります。気候変動や戦争、バイオ技術の暴走など、様々な要因で私たちの食が見えなくなっています。理屈よりもまずは手を動かすこと。どうぞご一緒に。

自給のための自然農を学ぶ・さとやま農学校2024コース


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