こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
自給の自然農を学ぶ・さとやま農学校2024コースも12月で千秋楽を迎えます。
皆さんと3月から育ててきた畑の風景が12月になると、だんだん3月に戻ってくるのですね。
皆さんそれぞれに感慨深い表情をなさいます。それは「すどう農園」も同じ心境です。
冬が来た畑の、なんともいえぬ静かな佇まい。
ホウレンソウは無肥料栽培の代表格
霜が降りたらホウレンソウの旬です。
植物は、寒さに負けないように糖度を高めるので、それこそ根っこまで甘い日本ホウレンソウになります。この冬の味に惹かれるので「さとやま農学校」では夏ホウレンソウは作りません。あくまでホウレンソウは冬のもの。夏の葉物は夏らしい野菜を食べましょう。フダンソウ(スイスチャードなど)も丈夫な夏の葉菜です。
堆肥や化成肥料をあげるとホウレンソウはエグくなりがちですが、自然農・無肥料栽培で、これくらいの薄い緑だと生のままでも食べられます。もちろん加熱した方がたっぷり食べることができますが、栄養が逃げるので茹でるのでなく、フワっと蒸すくらいで充分。
そして野菜の大きさも小ぶりが良いのです。肥料で細胞を水ぶくれさせた野菜は細胞壁も薄くなって脆いので虫にも食われやすい。それで農薬がないと作れないというような悪循環になります。
無農薬だから虫が来る、のではありません。肥料のやりすぎで細胞が緩んでしまったから虫に食われるのです。
春の彼岸を過ぎた頃から、またホウレンソウは少しづつ伸びてきます。やがて初夏になれば花が付きます。アブラナ科ではないので、可愛い菜の花は咲きません。ホウレンソウの株は性別が厳密には5種類あるので「さとやま農学校」では花の見分け方を学びながらホウレンソウのタネ採りをします。
猛暑でハクサイを育てる
このみだしのテーマだけでブログ一つ書きたいほどです。
今年2024年の夏の種蒔きは高温でどれも苦労しましたが、とりわけキャベツとハクサイ・・・厳しかったです。何度も蒔き方を変えるなどして、ここまで育てくれたのが数株。
これは大事な株なので、食べずに種を採ります。
秋ジャガイモの収穫そして種ジャガイモの確保。
冬の作業の柱は、収穫とタネの選抜・保存です。
「自然農を学ぶ・さとやま農学校」ではメジャーな作目は自家採種します。もしくは種イモを備えています。タネも土も備えることは大事です。お金に替えられない宝物です。
霜が降りて枯れあがったジャガイモから種ジャガイモを選んでいます。ここ数年、春が暖かく多雨になってきたので、腐敗を防ぐために種イモは小さなものを丸ごと植え付けています。かといって小さすぎる未熟なイモでは発芽しません。そのあたりはよく見極めること。さらにその他の原則・ポイントは他のタネ取りに準じます。
都市部の皆さんと里山を守る協働作業
農園の一角で、子供らが遊んでいます。
農学校の受講生さんの家族です。
野原で遊ぶ子どもの姿は、ホッとしますね。
このすぐ隣は、既に耕す人のいなくなった耕作放棄地がずうっと森まで広がります。
すどう農園がこのエリアをお借りしたのが20年ほど前でしたが、その頃はまだ奥の山すそまで畑が広がっていました。しかし気が付けば、すっかり竹の茂る荒廃地になり、すどう農園が今や最果てになってしまいました。ここだけ農地が守られているのは、子どもも含めて都市の皆さんが来てくださるからです。このことは非常に大事だと思います。
里山は都会と森の両方のモードが入り混じる境界です。人がいなくなったら里山は滅びます。
高齢化と人口減少というのが日本中の里山の現状なのですから、減った分を埋めてくれるのは、都市部の人たち。観光ではなくて、一緒に創る、という気持ちのある方々なのです。
前にもご紹介したカツオ菜。10月蒔きでも大きくなってくれました。
お味噌汁に使うと旨味がギュッと出てきます。
生で食べると、からし菜のように辛い。
どちらでもお好きな食べ方ができます。
飯は天なり。
というのは韓国の詩人・金芝河(キムジハ)の言葉です。
空の下で火を囲んでご飯を頂くのは、ヒトの原点と思います。
写真は9月から12月まで開催した「秋のショートコース」の様子です。
4回の短い講座ですが、同じ畑を耕し、同じ釜でご飯を頂くというのは、インターネットではできないリアルなご縁です。
こんな風に、小さく火を囲んで集う風景が、もっともっと首都圏にあればいいのに、と思います。
卒生生の皆さんが育てているタデ藍が今年も花を咲かせました。
今年は藍染の企画はありませんでしたが、来年あたりはどうでしょうか。
ハーブに関連した企画については、農園スタッフによるPlay@Farmが様々な取り組みをしてきました。来年はどんな感じになるでしょうか。楽しみです。
さとやま農学校2025に向けて
さとやま農学校の説明会を兼ねて「里山の自然農体験」を2月まで開催します。
2時間だけの短い時間ですが、軽い作業で里山を感じて頂き、それから「さとやま農学校2025」の説明もします。冬は静かに深く自然を感じられる季節です。
どうぞお気軽においでください。