アグロフォレストリーとバナナ

こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。

バナナが今年も実を付けました。

バナナは草木類なのですが、地下の株が残って、毎年新しく目を出してきます。

そしてその株の脇からさらに専門用語で「吸枝(sucker)」と呼ばれる子株が伸びてきます。
宮古島に住んでいた時は、こうした吸枝を掘っては挿しておくだけで、どんどんバナナが増えた。

二枚目の写真は、小さなバナナの実ですが、まだとても辛くて食べられません。
でもバナナが大きくなる頃には相模湖は寒くなってしまい、けっきょく口に入らなかったのです。
仕方ないですね。
こうした熱帯由来の植物は、のびのびと、おおらかに育てばいいと思います。あんまり手間暇かけて育てるよりは、寒くてダメなら仕方ない。

自然農を学ぶ・さとやま農学校」では、むしろ日陰を作ってくれる植物として、このバナナや先日ご紹介したエビスグサ(緑肥にもなる)などを随所に組み合わせていくものと考えています。
これからの夏の畑は日陰が必須です。
借りている畑に樹木を植えるのは難しいですが、こうした草木類であれば、気軽にできますね。
日陰があることで乾燥を防ぎ、虫やミミズや微生物が集まる憩いの場になります。

いっぽう地下の根圏では菌根菌によるネットワークの拠点にもなるでしょう。こうしたリビングマルチ(生きたマルチ)は、落ち葉や刈草とはまた違った働きをしてくれます。

もうひとつ、こうした背の高い草木類は、秋の暴風も緩和してくれます。一般に風を防ぐ壁は、その高さの3倍まで水平方向に風を弱めてくれるそうです。だから1mの高さのバナナであれば、その周囲3m近くは、向こう側からの風が弱まる。ただし、バナナ一本だけだと、台風で折れてしまいます。沖縄なら、台風の後でもまた再生してきますが、相模湖では、秋の台風で折れてしまうと来年まで待たなければならない。なので、他の植物や野菜を群落をつくるように育てていくのが理想です。まあ、なかなかそこまでスペースはないものですが、とにかく野菜だけではなくて、いくつかの組み合わせで共生関係を作っていくのは、その組み合わせを考える時間も含めて面白い。

このように多層に空間を利用する形は、日本でも柿の木の下にミョウガを栽培するなど、伝統的にありますし、夏の暑い沖縄では野菜は木陰で育てています。今の関東は、夏はむしろ沖縄よりも暑いのですから、その意味でも日陰は大事です。従来の既成概念を捨てないと、夏に畑ができなくなりますね。

自然農の畑は、それ自体が一つの生命です。お互いの存在が有機的に共生して、人間の予測を越えた動きがあります。あんまり理屈で解釈するよりも、素直に子供のような目線になって驚く方が良いですね。

おもしろい! ふしぎ!

と思える気持ち(センス・オブ・ワンダー)を携えて、秋の畑に臨みましょう。

さとやま農学校は10月からも参加できます

ショートコースに参加したいけど、9月からは難しい・・・
という方。
10月~来年1月という参加もできるようになりました。
1月は、果樹の剪定や炭焼き、その炭を使った畝立て(昔ながらの地ごしらえ)、あるいは苗土づくりなど色々な作業があります。寒いので古民家での座学「春に向けた自然農の基本」を組み合わせます。
夏が暑くなった分(そして冬が暖かくなった分)、1月は大事です。
どうぞ、新春の気配を愉しんでください。

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