こんにちは。
神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。
「自給のための自然農を学ぶ・さとやま農学校」を終えたあとは、一人静かに農園の世話をします。
賑やかに皆さんと触れ合う時間はもちろん楽しいのですが、そのあとの静寂も大好きです。11月の青空の、高く張り詰めた気配は、山に太陽が沈むと急に暮れてきます。気温もぐうっと下がる。それまでの1時間かそこらは、観察と対話の時間。農業は実際に身体を動かす時間だけでなく、こうした周囲を眺めて感じる時間も大事です。とりわけ自然農は、野菜だけを育てるわけではありません。森羅万象を感じて、その中に身を委ねて「野菜も育つ」世界を我彼一体になって造る。
まあ、あまり禅問答みたいな言い方はどうかと思いますので、以下は具体的に。
上の写真は、周囲の耕作放棄地のブタクサです。
こうした風景が、残念ながら年々増えています。おそらく全国共通の光景でしょう。
タネを飛ばして他の植物を制圧する厄介者の帰化植物です。
畑では決して育てない植物の筆頭ですが、今の時期、野鳥にとってはブタクサのタネも貴重な食糧です。鳥は、一年を通じて膨大な数の草のタネや虫を食べるそうです。それが糞になって大地に還る。鳥の糞は良質な(吸収されやすい)リン酸分を含んでいるので、鳥が媒介して世界を耕しているともいえましょう。自然農では「虫や草を敵としない」というのは、そういった意味です(この辺りは、もう少し実際の畑での説明が必要なのですが)。
こちらは立木にグルグルと絡んで、ほぼ枯れつつあるツル草。ヤブガラシかカナムグラか、そのあたりでしょう。若い樹などは、巻きつかれて枯れてしまうこともあるので厄介者です。チクチクとしたトゲも痛いので、素手で抜きにくい。こちらも鳥が種を食べています。
あるいは背の高い枯草の藪はトンビなどから身を護る格好の隠れ家にもなります。
我が家の庭先も周囲が空き地で草だらけなのですが、キジやウズラの家族の住処にもなり、野草のタネは食糧として野鳥たちが集ってきます。タネをついばむときの鳴き声も愉しそう。
鳥を呼ぶ庭、というのは色々な花木を植えたり、えさ台を備えたりするのも愉しいですが、放ったらかしても、まさに自然のままに生き物が集まってくるのですね。
もちろん、畑にブタクサやヤブガラシを育てるわけにはいきませんが、きれいさっぱりに草刈りをしてしまうと、生物相としては寂しいものになるということです。
いま地球上では昆虫や鳥を含めた野生の動物が激減しているそうです。自然農の土台はあくまでも自然界そのものですから、野菜だけに目を向けるのでなく、色々なイノチが育つことを、時間の余裕ができた冬の間に手立てをしていきたいものです。
「里山の自然農体験」でも、冬の作業は周囲の里山とつながる作業をメインに行なっています。リフレッシュを兼ねて、どうぞおいでください。2月まで開催しています。「さとやま農学校」の説明もします。