不耕起栽培と担子菌

こんにちは。

神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。

少しづつ雨は降っているものの、神奈川県の水不足はまだまだ続く状態です。
相模湖、津久井湖、宮が瀬湖の3つのダムを抱える相模川水系は、神奈川県の根本を成す水源ですが、津久井湖などはまだ貯水率が11%という歴史的に前例のないレベルとなっています。

上の写真は、3月6日の道志川の様子。このすぐ先で相模川に合流します。
このすぐ上流には横浜市の上水道があります。
かつて(おそらく戦前でしょうが)「横浜の水は赤道を越えても腐らない」と船乗りに称賛された水は(横浜市の水源が複数あったとしても)この水も赤道を越えていったものかと想像します。
その水が、ご覧のように少ない。

道志川水系は、お隣りの山梨県道志川に源を持つものですが、先だっての大火事で大変な被害になった上野原市や大月市とも水脈がつながるのでしょう。
現場の人の話では、今回の火事の現場は、そもそも森とはいっても地表が砂漠のように剥げて乾いていたそうです。本来の山火事では、下層に生えている植生から湿気が起き上がって火を収めるのだそうですが、それがなかった。逆に枯れて乾いた草が積みあがっていて、ますます火に勢いをつけたと。
他にも火事が大規模に延焼した原因については色々と複合的な事情もあるようですが、いずれにしても人災が重なってのようです。これは今後、どこにでも起きうる。
昨年の空梅雨や、この度の少雨を経験するにつけ、地面をむき出しにしては行けないのだと、改めて痛感します。そこで今日の話は、不耕起栽培の土着菌。

不耕起栽培は菌類(土着菌)のパラダイス

春の畑の愉しさ。
不耕起栽培の畑は、野菜に先駆けて野草たちがぐうんと伸びてきます。
柔らかいハコベが、そろそろ白い花を咲かせる頃ですね。
ベロニカ(オオイヌノフグリ)の青やヒメオドリコソウの赤紫も常連です。
ホッと落ち着くひととき。
そして、野草のカーペットをめくってみると。
びっしりと絹糸のような白銀のカーペット。
こちらも静かな饗宴です。

われわれ農家は俗に「山のはんぺん」と呼んでいます。
担子菌類が菌糸を伸ばした状態。
よく目にするキノコなどの仲間ですがキノコの笠は生育ステージの限られた期間の姿です。
こういう状態で滋味に目立たず、地面や地中でネットワークをしながら、有機物を分解し、また植物の根ともコンタクトしては栄養のやり取りをしています。つまり菌があればこそ植物も育つのですが、その辺の様子は、段々と研究も進んできたところです。むしろ農家も、今までのようにきれいに耕すことばかり頭をロックオンしないで、菌と生きる土づくりをデフォルトにした方が良い。お金もかからないし。石油も不要。

「山の」とカッコがつくのは、つまり普通の畑だと耕してしまうので、こうした菌糸を見ることはないわけですね。それで竹藪に入ったりして「はんぺん」を集めるわけです。実際、アズマネザサなどの密生する中に入って、落ち葉の層をかき分けると、ときには畳みたいにデカい「はんぺん」と出会います。
それはもう無数の菌糸のコロニーですからイノチの塊。神々しささえ感じます。

しかし不耕起栽培の場合には「畑=森」ですから、森まで行かずとも、こうした菌糸類がのびのびと育っています。

このように、不耕起栽培の地面には、様々な菌類がいるので、上に挙げた写真はどの菌か?と名前をあげることはでいないし、そうする意味もないでしょう。
それよりも、静かに命の饗宴に耳を傾けましょう。
鳥のさえずりともミツバチの羽音とも違う、いわば静謐な饒舌、とでも言いましょうか。

「自然農を学ぶ・さとやま農学校」では、こうした不耕起栽培を学びますが、いきなり何も耕さずに畑ができるかと言うと、そういうものでもありません。今のSNSなど見ていると不耕起栽培でうまくいった話ばかりが上がってくるようですが、ツボを外して失敗する事例もたくさんあるのです。畑を借りている場合など、いきなりそれで草だらけにして畑を追い出されたり・・・そういう事例は枚挙にいとまがない。何でもそうですが、簡単にうまくいく農法などあれば、今どきみんな農業してますね。
常々思うのですが、今の時代の風潮として:
ひと手間かけるだけで・・・とか。
あっという間にできる裏ワザ・・・とか。
そんな情報ばかり。

手間をかけることがそんなにイヤですか?
じっくり黙って眺める時間が、無駄ですか?
と言いたくもなります。

これほど便利になったはずの時代でありながら、ますます人間は忙しい。
根本的に矛盾してないですか?

コンクリートと情報ノイズに息がつまる世界。
束の間でも、大地に戻る時間は必要です。
現地の見学会も4月いっぱいまでやっています。
いちど、おいでください。

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