夏は映画の季節「テルマ&ルイーズ」から「ハルビン」まで

5月までの畑は、永遠に時間が続いて欲しいほどに愉しい季節ですし、家に着いたとたんに倒れるほど、思い切り働くのですが、6月に入ればそれは無理。
なので6月から9月までの日中は、暑さを避けての読書や映画で、自分への滋養とします。
農業の良いところは、畑からすぐに家に戻れるので時間が自在に使えるところですね。

久しぶりに、このところ観てきた映画を並べてみました。
2025年6月から、昨日7月11日まで。
これはダメだ、と思ってすぐに観るのをやめたものは除外してます。

テルマ&ルイーズ いまや古典。ごくごく普通の二人の女性が、転げるように犯罪者になり、追われて命を絶つロードムービー。

ガープの世界 これも「ホテルニューハンプシャ」と並んで懐かしい。作者のアーヴィングが批判したジョイスに近しく思えてしまった。

81/2 フェリーニといえば、何といっても「アマルコルド」なのだけれど、こちらも映像美を堪能させてくれます。フェリーニ自身を模したマストロヤンニが主人公のによるストーリーはどうでもよくて、ただただ美しさに耽溺。

必殺仕事人 藤田まことさん、素敵です。そして大好きな中村雁右衛門。この型は、中村玉緒さんの父上なのですね。なるほど目のあたりがよく似ている。大映作品にもよく出ていらっしゃった。若尾文子や京マチ子といった豪華な女優陣に比して、まったく男優が育っていない大映にあって、中村さんはなくてはならないものでした。

仁義なき戦い 広島死闘編 夏といえば、このシリーズです。
中でも一番人気のあるこの「広島死闘編」はシリーズ2作目にあたるものです。二枚目スタートして売り出していた千葉真一が悪役になり、北大路欣也そして梶芽衣子というキャスティング。残念ながら千葉真一は、これ以降は悪訳のイメージが当時の二枚目路線と違うために出演叶わずでしたが、本人ももっと出たかったようです。その千葉真一さんも今はいない。
このシリーズの舞台は、敗戦から間もない広島です。
ほぼ実録なのだけれどつまり、あの原爆から生き残った若い命が、一体どうしてこんなことで殺し合いをするのかと。もちろんこれはあくまでも一部の人間とはいえ、人間というものの、どうしようもない業までも深読みするわけです。偉大な脚本家、笠原和夫さんの作品には、そこまで考えさせるチカラがあります。笠原さんは戦争を描いた作品も多い。娯楽でありながら、人の心の奥深いところまで掘り下げてくるチカラがあるのです。

夜叉 フランス語で「ファム・ファタール」と言います。男の運命を破綻させてしまう女、というような意味です。当時30歳だった田中裕子の、これはまさにファム・ファタール。
高倉健の背中の夜叉の絵が、妙にイラストっぽいなあと思いながら観ていたのだけれど、その夜叉の絵の意味が最後にわかる。

ちびまるこちゃん 今まで見たことがなかったので、あらためて。短い時間で、子どもも大人も惹きつけるシナリオのチカラ。

キイハンター 千葉真一が懐かしくなって。野添陽子さんも愛くるしい。丹波哲郎は、影を控えめにしてのボス役。頼もしい。

陪審員・2番 クリントイーストウッド92歳ということで、これが最後の作品ということです。劇場公開を見逃したのでアマゾンで観る。フランス語に吹き替えたものを日本語の字幕が出るのは、いま日本ではU-Nextで独占配信しているからフランス語版を使ったのか?でもアメリカ映画をフランス語の吹き替えで見るというのは初めての体験で、これはこれで面白い。
それは良いとして素晴らしい作品です。
「神は自分を見ている」というところから陪審員になった青年の葛藤を描きます。

新聞記者 テーマが時事に触れるだけに、日本の俳優がやりたがらなかった映画ですが、こういう現代の深みに迫るのも映画の役目であろうに、それが暗黙のうちにできないという日本の逼塞。見えない圧力。

プラダを着た悪魔 メリル・ストリープのサディスティックな役にはどうも共鳴できなかったけれど、アンナ・ハサウェイが良いから良い。

プリティ・ウーマン シンデレラと王子様になってしまうラストは、ディズニーの意向で原作を書き直したらしいけど、甘すぎるね。多数受けするにはこういうハッピーエンドになってしまうのか。ヘプバーンの「ティファにーで朝食を」もフィッツジェラルドの原作では彼女は遠くに旅立ってしまうところが、映画ではヘップバーンがまた戻ってきてハッピーなのでした。フィッツジェラルドの描いたところ、冬至のアメリカの奥深くポッカリ空いた心の穴は、映画では全く骨抜きなのでした。

狼たちの午後 アル・パチーノは年とっても素敵だけれど、やはりこの頃の、ギラギラした目。まさに狼(映画の原題は狼でなくて犬なんだけど、ここは邦訳どおり狼が良い)

ハルビン 圧巻。これは吉祥寺のUPLINKで観ました。劇場で観ることをお勧めします。
なんといっても映像の美しさ。全編を通して出てくる煙草の煙の演出に目を奪われました。
リリ・フランキーも今回の伊藤博文役は、抑えた演技が良かった。




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