固定種ブロッコリー&キャベツのスーパーセル

種・遺伝子・在来種ほか

こんにちは。

神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農法を営む「すどう農園」です。
そろそろ農家さんも、自給菜園で自給自足をされる皆さんも、ソワソワしてきますね。
そして春先の話題と言えば「品種選び」です。
今年はどんな種を蒔こうか?とワクワクするのですが、いま品種選びで大事なこと、それは:
気候変動に強い品種を選ぶ。
これに尽きるのではないでしょうか。
農文協の月刊誌「現代農業」は、毎年2月号が品種特集です。結構影響力の大きい特集記事です。十数年前の特殊ではカラフルな野菜(主にアントシアニンの豊富な赤や紫の系統)がたくさん紹介されていて、それでかなり直売所の野菜なども見た目がカラフルになりました。
なので、どんな品種が紹介されているかは、種苗会社にとっても売り上げに響くので、ドキドキなところでしょう。
 今年2024年の品種特集のテーマは「激夏で見えた品種の底力」というタイトルです。読んだ感想としては、まだまだ農家も当惑状態にあるので、おそらく市販の品種で耐暑性の強い品種が定着するには数年かかるだろうなあ、というところです。
 そして自然農法に関していえば、品種は何よりも自分で育てて創るものです。暑い夏を生き延びた個体を「ご苦労様」といたわってから翌年に種を採る。滋味落ちにその繰り返しなおです。その意味では猛暑でもなんでも、やることに変わりはありません。じじつ、7月の干ばつの最中でも、絶望的に思えた中で元気に育てくれたニンジンたちがいました。あるいはハクサイやブロッコリーも同様です。
そうした野菜を大事に種を採っていく。それが原点です。
 とは言うものの、まず初めにどんな種を選べばいいのか。それは大事ですね。
 オーガニック認証のある固定種をお勧めします。

オーガニック固定種のブロッコリーの種は、どこにあるか

自給自足の自然農法を学ぶ農業体験「さとやま農学校」の皆さんと一緒に、固定種の栽培と種取りを繰り返しています。ブロッコリーも大事なメンバーですが、なかなか苦戦しています。
そもそも日本にはブロッコリーの固定種でオーガニックの種がほとんど販売されていないのでイタリアなどの海外のオーガニック種子をこれまでいくつか試してきていますが、なかなかこれというものができません。試行錯誤です。
 販売される固定種を使う場合には「オーガニック認証」されたものを選んでいます。農薬を使わずに育てられた状態で種を採ったという意味です。日本では種苗については「オーガニック認証」という制度がありません。欧米ではオーガニックの野菜の認証については、必ずその種苗もオーガニックつまり無農薬で栽培、採種されたものという規則があるのですが、日本はそこがザルなのです。種子消毒された種をつかっても、有機JAS認証は可能です。
 市場で流通するブロッコリーの世界シェアの7割以上は日本の交配品種だそうです。もともと日本の種苗メーカーさんはアブラナ科系の品種が強いのですが、それにしても寡占状態ですね。ブロッコリーを食べる部分は、ご存じのように蕾の集合体ですが、これがなるべく咲かないように、つまり流通過程での品持ちが良いように育種されたのが交配種のブロッコリーです。だから固いわけです。

花を咲かせる時期にも多様性がある

下の2枚の写真を見比べてください。どちらも固定種のブロッコリーです。これから種取りする予定ですが、手前は既に昨年の暮れから花を咲かせているもの。そして2枚目の写真は、その奥にピントを合わせました。まだ蕾のブロッコリーが見えますね。

固定種のブロッコリーを自然栽培で自家採種する@さとやま農学校
固定種のブロッコリーを自然栽培で自家採種する@さとやま農学校

同じブロッコリーの固定種なのですが、花の咲く時期がバラバラです。これを売るとなったら商品にしにくいですね。でも本来はこれでいいのです。花の咲く時期をずらすことで天候変異のリスクに備えます。何かあっても、どれかが生き残れるようにするための生存戦略です。 
 多様性というのは、SDGで提唱される「生物多様性」のように生物同士の多様な共存を意味することもあれば、このように同じ種のなかでの生理的なキャラクターの違いを意味することもあります。いずれにしても大事な要素ですが、大量生産、効率化を考えると切り捨てられてしまうものです。商業生産であれば仕方ないとはしても、自給自足のためには、むしろこのようにばらついていることが理想です。できたブロッコリーから新鮮なものを少しづつ収穫して美味しく食べていけば良いわけですから。

固定種キャベツのスーパーセル

固定種・オーガニック認証ブロッコリー種子から育てたスーパーセル

こちらは固定種キャベツのスーパーセル育苗です。
秋に蒔いた種の春どりです。
3月から5月にかけては気温の乱高下が激しいので、逞しい苗を育てることが大事です。
スーパーセル育苗というのは、苗に肥料を与えずに水だけで長く育てる方式です。やがて枯れたかのように赤茶色に葉が変色しますが、生長点が生きていれば大丈夫。ギリギリにハングリーな状態にしてからタイミングを見極めて鉢上げをして、今は定植を待っています。ギリギリのタイミングの見方が大事かなと思います。
キャベツは浅く根を張る性質なので、初夏の乾燥を乗り切るほど根を強く張る苗が望ましいです。そうして丈夫に育った子からまた種を採ります。この繰り返しです。
 今年は早くも空が動き出していますね。おとといの突風などは3月の爆弾低気圧そのものです。こんな感じで空もまた手ごわいことでしょう。それならそれで人間も、空と対話しながら構えます。もちろん自然農法の基本は変わりません。まずは天地の循環に身を寄せて、その中で野菜を作らせていただく姿勢です。

種まきから種取りまで学ぶ農業体験「さとやま農学校」

昨年暮れの「現地説明会」はインフルエンザでキャンセルされる方も多かったので、2月に臨時の追加開催をします。ただし週末のコースのうち公共機関ご利用枠はだいぶ混んできていますので、説明会に参加されなくとも、早く申し込まれた方が優先になります。ご了承ください。

自然農法の農業体験・さとやま農学校2024コース

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