シリーズ「あなたが街を耕すとき」5回目
2023年12月01日 国分寺カフェスローにて
「情報公開請求をやってみよう」@国分寺カフェスロー
12/1(金)の開催まで1か月を切りました。
連続シリーズ「あなたが街を耕すとき」5回目です。
シリーズ前回の「どうなるの?私たちのお米」では、「食」を巡る様々な場面で、知りたいことが知らされていないもどかしさを覚えました。日本のメディアを実質的に差配するスポンサーの多くは食品会社ですから、遺伝子組み換えの問題もテレビや新聞にほとんど出てきません。
では、企業ではなくて官についてはどうでしょうか?
本来は私たち市民のための機関であるはずが「余計なことは知らせなくてよい・むしろ頼らせればよい」となりがちです。
もちろん、市町村から国に至るまで、現場で汗をかく公務員の個々の方々には日頃から諸々のお世話になっています。「すどう農園」の野菜にしても、福祉関係の部署を通じて「こども食堂」や生活に困っているご家庭などに配っていただいています。こういうことは個人情報にもかかわるので、私個人ではできないことです。
そうした協働関係もありながら、しかし、ひとたび大きな組織総体となると容貌は変わってくるわけです。訊かれていない事は話さない・・・さらに「聞かれても話さない」ということがあります。10月にお招きした印鑰(いんやく)さんも、農水省での種苗課を中心とした閉鎖的な対応にはずいぶん苦労されているご様子でした。
だからこそ、市民と行政との健全な関係のためにも、制定されてまだ新しい情報公開請求というツールは大事なのです。
残念ながら、情報公開の請求をしても公開されないケースもあります。冒頭の写真のように公開されても書類が塗りつぶされてくることもあります。
しかし、それ以前に情報公開を請求された経験のない自治体が圧倒的に多いのが現状です。あるいは新聞でさえ、情報公開請求をした経験のある記者は少数なのだそうです(記者クラブ制度の弊害もあるのでしょう)。せっかくできた制度を大事に育てていきたい、その想いで今回の企画を立てました。
水先案内をお願いするのは独立気鋭のジャーナリスト集団Tansaの代表・渡辺周さんです。
企業スポンサーに一切頼らずに市民のサポーター制度で探査報道を続ける取材内容はYoutubeの「デモクラシータイムズ」などでもご覧いただけます。私も個人でTansaのスポンサーになっています。
来年からは「市民のメディア塾」のようなコンセプトで連続開催したいと思っています。そうなれば、情報公開に限らず、私たち市民の情報リテラシーも育っていくことでしょう。
私は思うのですが、例えば農業でも、プロの農家と同じくらい自給のための栽培をすることが大事です。自分で野菜を育ててみればこそ、農業の大変さも理屈抜きでリアルに見えてくるからです。
情報もまた然りでしょう。
志あるジャーナリストを支えるのは、やはり身近な情報に接していく読み書き能力をわきまえた市民だと思うのです。プロに任せっきりにしないのが、野菜づくりでもジャーナリズムでも、市民たることの基本形ではないかと。
そのためにも、どうぞ皆さん、まずは12月1日にご参加ください。
渡辺周さん・プロフィール
1974年神奈川県生まれ、広島、大阪育ち。2000年に日本テレビから朝日新聞に移籍。特別報道部などで探査報道を担う。
高野山真言宗の資金運用や製薬会社の医師への資金提供の実態などを報じたほか、原発事故後の連載「プロメテウスの罠」で、高レベル核廃棄物をテーマにした「地底をねらえ」、原発立地町の苦悩を描いた「原発城下町」を執筆した。
朝日新聞は2016年3月に退社、2017年2月に創刊した非営利独立の探査ジャーナリズム組織ワセダクロニクル(現Tansa)の編集長に就く。
Tansaでは、電通のステマ問題、製薬マネー、北朝鮮による日本人核科学者の拉致疑惑などを手がける。2017年9月に日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」を受賞。