タネの交換会&「タネは誰のもの」上映会

種・遺伝子・在来種ほか

こんにちは。

神奈川・相模原の里山で自然栽培を営む「すどう農園」です。

いつもお世話になっている「カフェスロー」さんにて映画「タネはだれのもの」上映会と種の交換会を開催しました。2階にあるワークショップのスペースで午前から3回上映して、大勢の方々にお集まりいただけました。コンパクトな空間なので、寄り合いっぽくフレンドリーな雰囲気。普段のカフェの講座もいいけれど、こういう畳も良いですね。
 タネを巡る状況は、遺伝子組み換えや種苗法、さらにゲノム編集や放射線育種など、刻々と世界規模で状況は変化しているし、しかも専門的な知見もないと分かりにくい。原発や不良債権の問題にも共通することですが、昨今の社会問題の特徴は共通しています。つまり:
・専門性の高い先進技術に関わることなので一部の専門家に知見が集中する
・それでいながら専門家は自分の専門分野しか知らない。そもそも知ろうとしない。
・一度広まった問題は(エントロピー増大の法則そのままに)収拾がつかない。不良債権も放射性物質も、遺伝子組み換え作物も然り。

・・・食の分野は、今やバイオテクノロジーの土俵で扱われつつある状況なので、映画を細部まで理解するのは難しいかもしれません。しかし細かいところは措いても、大事な大枠が分かる映画です。その「大事な大枠」とは何でしょうか。つまり:
 本来はお金で換算されなかったものがお金で換算されるようになる。つまり誰かの物になるということです。タネも本来は皆の物だったのが、誰かの物になった。なりつつある。
 斉藤幸平さんの本などでも警告されているように、近代の歴史は、「みんなのもの=誰か一人の所有物ではないもの」が「誰かのもの=お金がないと手に入らないもの」へと転換されていく過程でもありました。そういう目線で見れば地球規模からローカルな共同体まで、色々なモノがお金に呑みこまれてきた経緯が伺えます。その波が、タネにも押し寄せているわけです。とりわけバイオテクノロジーの進歩は、その流れに拍車をかけています。まずここを押さえていかないといけません。


 昨今、こうした状況に対して逆に上げ足を取る動きもあります。この映画もそうしたサイド(ほとんどは匿名のもの)から批判されることもあります。細かな瑕疵をあげつらったレベルの低いものばかり、もしくは事実を曲解したものです。上に挙げたようなマクロの歴史経済的な目線で根本を見ることはない。見ようとしない。典型的な思考停止。それでいて、自分の言っていることがファクトだと繰り返すのですが、そういう人物が実は農水省から助成金を受けて関連活動をやっている社団法人の関係者だったりします。農水省のヒモつきで活動をしている立場で、ファクトを語れる資格はありますか?
 異見が錯綜する問題に対して、ファクト(事実)はコレだ、と言えるのは、その問題に対してまったく利害関係のない第3者であることが絶対条件です。そんな基本的なことがないがしろにされる日本の言論状況は、劣化も甚だしい。
 例えてみれば東京電力の下請けが原発事故の状況についてファクトを語るようなものです。原発はさすがに世間も注目しているからそんなことはないでしょうが、タネに関してはそういうデタラメがまかり取っているのです。
 タネの問題については、4月から「OKシードプロジェクト」の印鑰(いんやく)智哉さんをお迎えして連続講座を始めます。昨年10月の講座でも大勢集まってくださいましたが、今回は人数をやや搾りながら、深い議論を進めていきたいと思います。東京では、こういう場所がありそうでないのです。ましてカフェではなおさらでしょう。

食のクライシスにどう取り組むか?
~食料危機・遺伝子操作・フードテックと対抗策としての学校給食etc~

世界は贈与でできている・ギフトエコノミー

この見出しは以前のブログでも使いました。
世界は、対価を必ずしも望まない贈与で成り立っているのです。
たとえば、自分以外の人を大事に思うこと、地球を大事に思うこと、どれも対価を求めるわけではありません。
今回は久しぶりにシェアシードの末木さんとお会いしました。
最初に出会ったのはパーマカルチャーのイベントでした。それ以来の長いご縁です。
末木さんがハワイのパーマカルチャーサイトを訪れて知り、そこで見た種ボックスをヒントに始めた種のシェアは既に10年になるそうです。誰が中心になるわけでもなく、不定形に流れるようにつながりながら続いているプロジェクトです。

 上映会の合間のタネの交換会では、色々な種を並べて広げて、宝探しのように交換しました。
さらに上映会の皆さんも種を持参くださって、それぞれのタネに込めた想いもシェアできました。この「想いの交換」もまた大事。想いは共鳴して伝わって、繋がっていくのです。タネに限らず、想いが伝わること、広がることは大事ですね。そのためには、やっぱりこうしてリアルに集まるのが良いです。

Seedvisionの末木さん。10年にわたって種の交換を広めてきました

この箱が、一年かけて全国の人から人へと旅をして、種を届け、種を貰って、巡ってくるのだそうです。「自分のところにも来て欲しい」という方ならどこにでもこの箱は来てくれるそうです。

自然栽培の農業体験「さとやま農学校」で育てる種のほとんどは自家採取したものです。その卒業生の皆さんが集まり、それぞれに種取りしている種を持ち寄って「タネの交換会」もします。これも愉しいものですね。皆さんも「さとやま農学校」でタネ取りを学びませんか?技術も身に尽きながらタネの輪にもつながれます。
現地説明会は3月まで開催しています。説明だけでなく実際に畑で軽い作業もしていただきます。
どうぞご参加ください。

さとやま農学校2024説明会

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