タデ科・ギシギシの自然農でのつき合い方

こんにちは。

神奈川・相模原の里山(相模湖)で自然農を営む「すどう農園」です。

「自然農を学ぶ・さとやま農学校」のなかでは野菜だけでなく、野草や虫との付き合い方もじっくり学びます。写真は、農園の端に生えているギシギシです。

耕作されなくなった遊休農地や、畑の脇に旺盛に生えるので、厄介者扱いの筆頭です。

ネットを見ると、どうやってギシギシを根絶させるかという投稿がたくさんありますが

・・・でもね。

「問題こそが解決である」と、パーマカルチャーの原理にもある通り、こんな時こそ、ゆっくり考える機会です。

ギシギシは、タデ科の仲間です。

近縁種はたくさんあります。
酸っぱい葉の美味しいスイバがあり、同じく近縁種のソレルはハーブとして種も売っています。

ギシギシだって、若い芽や葉をアク抜きして食べると、ぬめりがあって美味しい。
モリモリ食べるものでなくて、ほんの少し、箸休めに頂くのがいいです。
毎月1回開催しているさとやま御膳でもギシギシやスイバは、春の御膳に出てきます。

タデ科のハーブと言えばルバーブもありますね。
漢方ではダイオウと総称されるようですが、漢方の詳しいことは分かりません。

まだタデ科は色々あります。

ご本家のタデは味噌とあえてタデ味噌に。
そして藍もタデ科ですし、何よりタデ科の代表はソバですね。
こう並べてみると、タデ科は個性者のファミリーです。

まだあった。

春の里山にはミゾソバの花も咲きます。
食用だけでなく石田散薬という薬の材料にもなるらしい。
日野出身の新選組・土方俊三の実家にもゆかりのある薬だそうです。

ことほど左様にバラエティー豊かなタデ科の面々。

「タデ食う虫も好き好き」

という言葉にあるように、ギシギシを大好物にする虫もいます​。

代表はコガタルリハムシ。

小さくて青く光る虫が初夏のギシギシにビッシリたかって葉をレース状態になるまで食べます。
とことん、食いつくすという感じ。
そこで落とした糞は表土を作ってくれます。
虫のフンと侮ってはいけません。膨大な量です。
これが表土を作ってくれます。
それでもギシギシは死にません。
ルリハムシが肥やしてくれた表土の下から、平気な顔をしてまた生えてきます。
そういう自然界の循環の中に、ギシギシもいるのです。

それなので、ギシギシを厄介者と目の敵にする前に、良く見て付き合い方を考える。
色々な付き合い方があるんじゃないでしょうか。

私の農園では、畑の畝に生えたものは小さいうちに抜きますが、直接的な利害のない場所であれば、まずはルリハムシに食わせる。それでもまた葉を伸ばしてくるので、そうしたら花の咲く前に地上部を刈ります。それでもまた伸びてくるので(笑)、また刈る。
繰り返すうちに、表土が厚くなります。

表土を厚くするのは大事です。
畑に限らず、できるだけ周囲でも良い表土を作ることが大事です。
今は地球上で表土が失われつつある時代です。
トラクターで土がむき出しになるまで耕す近代農業も、表土の喪失につながっているのです。

以上は不耕起栽培の場合です。
草刈り鎌ひとつあれば出来ます。

逆に、儀義士の対策で一番いけないのはもちろん除草剤です。
その次にまずいのは、中途半端にトラクターで粉砕すること。

ヤマタノオロチみたいに砕かれた根塊のそれぞれが芽を出します。
こうなると最悪で、つまり何度もトラクターをかけて粉々にして「根絶やし」にするしかないのですが、しかし、それはやればやるほど土は固くなってしまいます。
昨今は空梅雨も多いので、トラクターでカラカラに耕うんされた畑は砂漠のようです。
これはギシギシ以上に悲惨です。

ギシギシに限らず、草との付き合い方は千差万別。

人それぞれですから決まった答えはありません。

だから自分なりに首を傾げて考える。

自然農は、それが愉しいのです。

都会の暮らしで失った、自然との付き合い方を、小さな畑から取り戻しましょう。

「自然農を学ぶ・さとやま農学校」の見学会は12月3日まで開催しています。受講生の皆さんの声も聞けますよ。送迎あり、駐車スペースもあります。

タイトルとURLをコピーしました