台風13号・豪雨に想うこと

昨日(2023年09月08日)は台風13号が関東を直撃。
なかでも千葉や茨城・水戸では線状降雨が発生して大変な被害との報道に接し、たとえ水は引いても、この先大変なご事情と察します。これ以上のご大過のないことを祈りますが、農家としては稲刈りを控えた田んぼや畑の状況が心配です。SNSではあまり農家さんの投稿もないし、そもそも災害の最中に田んぼを見に行くのは自殺行為ですから、実際の被害の様子が見えてくるのはこの先になるでしょう。水浸しになったことの影響がボディーブロウのように効いてくるのは、自分の経験もありますが、とても辛いものです。

私は、20代まで実家の千葉・柏で暮らしていました。大学も千葉大だったので千葉市にも縁があります。SNSの画像をみながら、いま住んでいる里山とは大いに地形の異なる平野部の幹線道路が、河のように濁流を集めていく様子に息を吞みました。わずか数センチでも低いところへ向かう水の流れは、こうした都市部ほどむしろ虚を突かれるようになって危険ですね。

河や下水以外に水の逃げようがないコンクリートの都会も問題ですが、上流の山や森が雨を吸収しきれない、あるいは流れを緩和する「緑のクッション」がないということもあります。今回は線状降水という特殊な事情を勘案しても、やはり緩衝がなさすぎるのでしょう。飛行機で成田空港に着陸する前に千葉の中央部を見ると中央部の丘陵地帯はゴルフ場だらけで、見るのが辛い。思い起こすに80年代のバブル時のゴルフ場開発はすさまじいものでした。ゴルフ場の芝生に散布される除草剤も相当なものです。ただでさえ房総半島の丘陵地帯は深い山がないうえに、こうしてゴルフ場によって森が削られてしまった、そのことの長年の蓄積が今出てきているのではないか、そんな想像もするのです。

水は、あらゆるものを流しはしますが、失くしてしまうわけではない。いま始まった原発からの放出にしても、放射性物質が希釈されるだけで、無くなることはない。それどころか動物連鎖のなかで濃縮もされる。それがまた何かの形で巡ってくる。流し去ったアレコレ、見たくないアレコレが再び巡ってくるのです。

アカデミー賞受賞作の韓国映画「パラサイト」でも台風と水害のシーンが出てきますね。圧倒的な水の力で、いつもは隠していたものが、あるいは隠れていたものが否応なしに浮かび上がってくる、そんな象徴と思いました。あるいは大沢在晶の小説「新宿鮫 風化水脈」でも、やはり記録的な豪雨が来たことで、地下からあるものが出てくるというストーリーでした。「新宿鮫」は、私の大好きなシリーズですが、十数作あるシリーズ中でもトップの内容と思います。新宿をこよなく愛する人は一読ください。

この先もまだ台風や豪雨は繰り返すでしょう。水の脈が、自分の地域で、どこからどう流れていくのか、こんなときをきっかけに、普段から感じ取って、備えるべきは備える手立てをしていきましょう。一人でもできる手立てはある。そんな話を、9月24日に国分寺のカフェスローでしましょう。詳細は下のリンクからどうぞ。

街ではじめる大地の再生

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